毎日暑い。
車の中は涼しいが、駐車場から会社に着くまでの間、たった5分くらいなのに汗をかく。朝の読書中でも扇子が欠かせない。
『夜と灯りと』は、図書館の除籍本になっていたので無料で引き取った。短編集で、社会の底辺を生きる人々の生活が描かれている。
まだ読んでいる途中だが、すでに面白いと感じているのはその文体だ。いつのまにか過去、現在、未来と瞬時に入れ替わっていく。「確かあのときは、」みたいなわかりやすいポイントがなく、シームレスに時系列が接続され、まるでウォータースライダーのようにガーっと流れて最後に到達する。
時系列だけではなく、人間の精神の激しい移り変わりもまた、読んでいてかなりリアルだと感じれる。実際に人の心はいろんなことを同時に思ったり考えていたりしている。そして社会の底辺を生きる人々の苦悩は精神をより激しくかき回す。なんとなく憂鬱な日の夜に読むといいのではないか。そんな気がする1冊。