
電話で起きた。でもめんどくさくて出なかった。
誰だ。なんの電話だ。
会社か?今日から出社だけどなんで来てないんだ。いや違うはずだ。今日まで休みだったはず...。
宅急便のお届けか?いや違う。来週の半ばの配達予定のはずだ。それにピンポンなってないし...。
スマホの画面を見ると知らない番号で、留守電が残っていた。朝の9時。いい時間だ。そろそろ起きるか。
知らない番号からの電話には応対しない。
昔だったら、基本的には電話に出るべきだった。いまは時代も変わり、自己防衛のために応対しない方が良かったりする。
留守電を再生した。10秒くらいの伝言メッセージ。「いま財布受け取りました、ありがとうございました」という内容だった。
そういえば先週、スーパーのトイレで財布を拾ってサービスセンターに届けた。そのとき名前と電話番号も伝えていて、持ち主がさっき電話してきたらしかった。電話でなくてすまん。
拾った財布を盗むことは簡単だ。でも1度でもそんなことをすれば、たとえバレなくても心に大きなキズがつく気がする。1度でもやったらもう消えないのだ。その一線は超えたくはない。
一方で、電話で詐欺をする人もいる。知らない電話に出ないのは彼らから身を守るためだ。
彼らの心はもう汚れすぎている。白かった頃を思い出せないほど、思い出したくないほどに。
知らない人は悪意をもっているかもしれない。そう疑わないといけない時代だ。だから落とした財布が中身を取られず戻ってきたことに対して彼はホッとしただろうし、感謝の電話だったことを知って僕もホッとした。
心は内側から汚れる。世知辛い世の中だが、自分が汚れないように努めたい。