10年先を思い出して。

日々のつなぎ目

6月22日_草の花

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福永武彦氏の『草の花』を読んだ。

だれかのブログで紹介されていて、それも半年くらい前だった気がするけれど、積読ののちやっと読み終えた。

 

孤独を貫き、死に向かって走り抜けていく恋愛小説。ほんのわずかな気の迷い、ためらいが2人のその後を隔ててしまう悲しさ。そのときには信じて疑わなかった思いが、あとになって後悔として残ってしまう人生の苦しさ。

ハッピーエンドとは言い難い終わり方で、なんとも歯がゆい思いになって本を閉じた。

 

人と会い、恋をし、知りたい、近づきたいとする思いと、理解しあえないだろうという諦め、私が死んでも世界には一変も影響がないだろうという行場のない投げやりな気持ち。

有象無象で不安定な未来を捨てて、透明で清らかな過去に生きる。

無謀な手術をわざとうけて術中死した男の最後の心境は、この苦しい旅もこれでやっと終わったんだ……という安堵のため息の中に、ほんとうはイチからやり直して人生を選び直したかったという後悔が感じられた。