
『好きにならずにいられない』という映画。タイトルの意味とかあらすじとか、あまり考えないで見始めたが、けっこう良かったので感想を残す。
あまりパッとしない感じの大男フーシ。母と実家暮らしをしていて、趣味はジオラマで戦争ごっこ、たまにラジオでヘビメタをリクエストする。
誕生日プレゼントとしてダンスのレッスンチケットをもらい、しぶしぶ出かけるとそこで1人の女性と出会う。
…と書くとそこからラブロマンスが始まるように思える。たしかにそんな道筋をたどるのだが、この男はものすごく不器用なのだ。
職場ではいじめられ、同じアパートと女の子と遊んであげると誘拐犯だと間違われる。その女性というのもこれまた少し厄介で、双極性のうつ病持ちだ。周囲の人間からフーシは振り回されてばかりいる。
他人から好き勝手されて、おまけに仕返しも一切しない。そんなストーリーがずっと続く。いったいこの映画はどこへ向かうのだろうと思っていたら、なんとそのまま終わってしまったではないか。エンドロールが流れてビックリした。
ただ、その終わり方をみるに、始めから最後まで一貫してちゃんとテーマがあったことに気がついた。それは、「すべてを受け入れて、今できることをやる」ということだった。
たしかにフーシは普通の人なら何か言い返したり、あるいは態度に出したりする場面でさえ、1人でじっと耐えてしまう。良いか悪いかはともかく、彼はそのまま受け入れてしまっていた。イジメにあっても上司に報告しなかった。出会った女性の抑鬱状態に付き添い、ごはんを作ってあげたりもした。
起こることすべてをありのままに受け入れ、そのうえで自分にできることを淡々と行う。そのフーシの姿はまるで慈悲深い僧侶みたいだった。特に、「そうか」というエピソードで有名な白隠禅師に近いところがある。
この映画を観てほしい人をあげるとしたら、一般社会に馴染めない人だと思う。「どんな人にも良いところがある」というが、社会でスポットライトがそれなりに当たる人はそれでいいだろう。でもなかなかライトが当たらない人ほどこの映画との相性は良さそう。不登校の学生とか、会社を休職しているとか。
映画通ではないので作品としての解釈は間違っているのかもしれない。でもこれはただの感想なので、千差万別あっていいだろう。
もしこれを読んで映画を観た人がいれば感想をブログに書いてほしい。僕もそれを読みたいと思う。
約90分の映画なので、みれる人はぜひ。