東京で写真展へ行ったあと、昔住んでいた街まで足を伸ばしてみた。
左側を多摩川が流れるこの河川敷は、楽しいときもつらいときもよく歩いた。
ここで社会人1年目になり、5年目で退職し、空白期間のトンネルに入った。長くて暗い3年間が過ぎ、長野へ移住を決めた。
「長野で何をやっているの?」と写真仲間たちに聞かれ、普通に会社員をやってると答えると笑われた。彼らは微笑ましく感じただけかもしれないが、私は、己の迷いや右往左往する醜態を見抜かれたように思った。
気づけば32歳になり、結婚や子育てをし始める人たちと、もうそれはないと諦め始める人たちの分岐点に立っているような気がする。今すぐ決めることはできないが、それは自分で決められる側面と、向こうから決められてしまう部分がある。
こうして、人生は初めは各駅停車だったとしても、次第に快速列車、特急列車のように乗り継いでいき、果ては新幹線みたいな、一度乗ったらしばらくは降りることができない、ものすごいスピードでどこかへ向かって、あるいは連れて行かれるようになって。「あのときは」などと嘆き始める大人にはなりたくない。
30代って、なんかもっと明るいものだと思ってた。私の人生に、晴れはいったいいつになったら訪れるのか。
やる必要のないことは圧縮し、この人生で自分にとって意味のあることをしたい。