静かに歩く。風が冷たい。
草木が揺れた匂い。
ブーツの踏み鳴らす小石の音。
私は、自然の一部であるのだと身体で感じる。
私は、今この瞬間にいるのだと心で感じる。
職場。あの空間がつらい。
本当はそんなことないんだって、大袈裟なんだって。仕事休んで気持ちに余裕が生まれると、そんなことを考え始める。
頑張って、苦しくなって。
繰り返し。これを繰り返してる。
同じところをグルグル回ってるだけだ。働き始めてからいつだってそうだった。
同じ。同じことを繰り返してる。
畑仕事だけは違ったけど、あんまり興味がもたなかった。食べることに関心がない。これが致命的な欠陥だった。
また宙ぶらりんになった。
仕事という責任から逃れ、追放されて。
唯一ありがたいのは、誰とも深く繋がっていないことだと思う。彼女はいない。数年前に別れてもらった。あの時すでに分離した方がいいと感じてた。一緒にはいられない。余計に辛くなる。
矛盾を抱え、また葛藤する。
1人では生きていけそうにない。誰かと繋がりたい。けれど、その繋がりがこの世に私を縛りつける。時に拘束ロープになるときがある。恋人がそうだった。
だからこの感覚があるうちは、恋人は作ってはいけないと思う。けれど、恋はしたいとも思う。それは生きる喜びだからだ。一方で、生きる喜びこそが時に鎖になってしまう。
行ったり来たり。右に揺れては左に揺れる。
招待されては追放される。参加しては逃避する。
ずっとこれを繰り返してるんだ。ずっと。